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タイヤのグリップ力

ドライバーが操るアクセル、ブレーキ、ハンドルの動きを地面に伝える大事な役目を果たしているタイヤ。今回は、タイヤが持つグリップ力(摩擦力)の話です。
「グリップ」と聞いて、みなさんは何を思い出しますか?
グリップ(Grip)とは「握る、つかむ」を意味する言葉です。野球のバット、ゴルフのクラブ、テニスのラケットなどの握る部分の名称として使われ、キュっと握っている状況を「グリップが効いている」、汗をかいたりしてツルツル滑るときは「グリップが効かない」、などと言います。
タイヤの場合も同じです。通常の乾いた状況では、ぐっと地面をつかんで走りますが、雨や雪、凍結した路面ではグリップが効かず、スリップしやすくなります。それがタイヤのグリップ力(摩擦力)の基本イメージです。

タイヤのグリップ力には限界がある!

クルマのタイヤには、縦方向と横方向のグリップ力があります(もしも、ハンドルがなくアクセルとブレーキだけで「直進専用」というクルマがあれば、タイヤのグリップ力は縦方向のみに働くことになりますが…)。タイヤには、ドライバーから要求されたアクセルのパワー(駆動力)、ブレーキのパワー(制動力)、左右のハンドルのパワー(コーナリングフォース)を受け止め、地面に伝える働きをします。
ただし、急発進、急ブレーキ、急なコーナリングなどでグリップ力の限界を超えると、タイヤはスリップや空転を起こしてしまいます。

図1

走行中にハンドルを切った場合、タイヤのグリップ力は縦方向と横方向に同時に使われます。しかし、どんな方向を向いていても、タイヤ自体が持っているグリップ力のトータルは同じなのです。ゆるいコーナーにさしかかればアクセルを少しゆるめ、きついコーナーを抜けるときは(ハンドルをたくさん切る必要があるときは)大きくスピードを落とします。ハンドルを切ること(横方向)にグリップ力を利用するときは、その分、前に進む(縦方向)ためのグリップ力を減らしてやる必要があります。

摩擦円ってなに?

グリップ力の働きは、「摩擦円」という図で表すことができます(単純に、アクセル、ブレーキ、ハンドルの力のみで考えます)。
中心点を「前後左右のいずれにも動いていない静止状態」とすると、縦の座標軸の上方向がアクセル、下方向がブレーキ、左右がハンドリングのパワーを表します。
アクセルを踏むと、タイヤは前に進むためにグリップ力を働かせます(A点)。さらに踏むとB点、もっと踏み続けると「もうこれ以上はグリップ力を維持できない」という限界点(C点)に達します。それを超えたらスリップゾーンに入り、つまりタイヤがスリップや空転する状況に陥ってしまうわけです。

図2

では、クルマが「曲がる」ときはどうでしょう。タイヤが持つグリップ力のすべてを直進のために使っている状況で(C点)、さらに少しでも右にハンドルを切ったら(D点)、クルマは円の外(スリップゾーン)に飛び出してしまいます。安全に曲がるためには、前に進む力(図では上矢印の方向)を減らすことが必要です(E点)。
この円は、グリップの限界を示しています。円の内側は「グリップの効くエリア」なので、もっとスピードを落として曲がっても(F点)もちろんOK。スピードをできるだけ損なわずに安全に曲がれる限界点が、この円周と重なります。

「摩擦円」は変化する ~路面によって変わる「限界」

摩擦円の大きさは、路面の状況によって違ってきます。乾いた路面での摩擦円にくらべると、雨のアスファルト路面での摩擦円は小さく、グリップの効きも弱くなります。雪の路面ではさらに摩擦円は小さくなり、凍結路面では…と、ますます滑りやすくなります。摩擦円の大きさはグリップ力を表します。小さい円はグリップ力が弱く、大きい円ほどしっかりグリップ力が働きます。
実際の走行で考えると、雨が降ったとき、いつもの調子でブレーキを踏んでスリップした経験があるかと思います。これは上記のとおり、乾いた路面にくらべ、摩擦円が小さくなった分、各操作の使用量(使える力の量)が減っているためです。

図3

以上、タイヤのグリップ力と路面の関係を簡単に説明しました。ここまでは「路面状況とタイヤ全体との関係」でしたが、タイヤのグリップ力は、加速、減速、コーナリングにともなって、4つのタイヤそれぞれに変化が生じます。急ブレーキを踏んで前のめりになったとき、「前のタイヤに荷重がかかっている!」と感じませんか? それは、後輪より前輪で、より多くのグリップ力が働いていることを意味します。クルマの動きによって、4つのタイヤにかかるグリップ力(=摩擦円の大きさ)は、それぞれが大きくなったり小さくなったりするのです。

次回は、「グリップ力の特性=摩擦円の大きさの差異」を利用したコーナリングについて解説します。モータースポーツの世界では、このような特性をフル活用して最速を競っています(やみくもにアクセル全開で走っているわけではありません!)。一般の道でも基本的な理論は変わりません。理論に従ってスムーズな運転ができれば、より安全&経済的でもあります。
次回をお楽しみに!

 
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